季節ごとに、小鳥さんと一緒に生活する上での注意事項をお知らせしています。
少しでも小鳥さんのことを知って、お役に立てればと思います。
腫瘍
2024.10.01
長い夏の終わりがようやく訪れ、秋をしっかり感じられる時期になってきました。朝晩の冷え込みに風邪をひいてしまった方もいるかもしれません。この時期、幼いヒナや高齢の小鳥さん、基礎疾患のある小鳥さんは特に体調を崩しやすく、状態が急変することもあります。そこで今回は、初期に気付かれにくい病気のひとつ、腫瘍について考えてみましょう。
人間と同じように、小鳥さんにも腫瘍ができることがあります。良性と悪性とあり、悪性のものがいわゆるガンとなります。できる場所やもともとの組織にもよりますが、良性の腫瘍はできた場所でそのままゆっくり大きくなることが多く、悪性の腫瘍では急成長したり腫瘍自体が壊れやすかったり(自壊)、血流にのって腫瘍細胞が他の部分に転移してしまったりします。残念ながら小鳥さんでは腫瘍の発生初期に発見することは極めて難しく、多くの場合かなり大きくなってからの発見になってしまいます。また、発見できても手術などで摘出することが難しいケースも多くあります。腫瘍の場所が翼や足であれば断翼や断脚で体は不自由になっても腫瘍による痛みや出血などから小鳥さんを守るという選択肢もあります。
そもそも小鳥さんではどんな腫瘍がよく見られるのでしょうか。
まず一つは、尾脂腺にできる尾脂腺腫瘍です。初期のころは感染などによる尾脂腺炎との区別が難しく、そうした治療をしても悪化する場合に診断されることが多いです。痛みや違和感などから自咬を伴うことが多く、腫瘍が深く浸潤していなければ手術により根治できます。
精巣や卵巣にも腫瘍はできます。特にセキセイさんの男の子では精巣腫瘍(もしくはその前段階のホルモン異常)によりロウ膜が茶色く変色しているケースが多いです。こうした見た目の変化や、おなかが膨れているなどの外見の異常からレントゲンなどの精密検査をして見つかることが多いです。摘出は難しく、ホルモン剤や抗がん剤治療をすることが多いです。
このほかにも様々な腫瘍があります。早期発見が難しいケースが多いですが、少しでも早く見つけて治療するために、小鳥さんの様子がおかしい部分がないかよく見てあげましょう。体格などのチェックも兼ねて、定期的な健康診断をお勧めします。