季節ごとに、小鳥さんと一緒に生活する上での注意事項をお知らせしています。
少しでも小鳥さんのことを知って、お役に立てればと思います。
文鳥さんの甲状腺腫
2024.11.01
去る10月24日は文鳥の日でしたね。文鳥さんモチーフのグッズ販売を含む様々な鳥さんのイベントが各地で開かれています。ちょうど今くらいの時期から文鳥さんのヒナのシーズンにもなるので、これを機に家族に迎えようという方もいるかもしれません。
そこで今回は、特に文鳥さんによく見られる病気の一つ、甲状腺腫(甲状腺機能低下症)について考えてみましょう。
人間の場合甲状腺は喉のあたりにありますが、小鳥さんの場合は鳴管(ヒトで言う声帯にあたる部分)の付近、胸腔の内部にあります。気管だけでなく食道、心臓や大きな血管にも近いため、甲状腺腫になると呼吸音がする、呼吸困難になる以外にも嘔吐や血色が悪くなるなどの症状が出ます。また、代謝にも関係する甲状腺ホルモンの出が悪くなるため太りやすくなったり羽ツヤが悪くなったりすることもあります。症状の軽い子では息切れしやすい、プチプチと音がするなどがみられます。
ではなぜ甲状腺腫になるのでしょうか。
多くの場合、ヨードの少ない食事が原因となります。通常主食となるシードにはヨードはほとんど含まれません。このため副食やサプリで補ってあげる必要がありますが、それらを正しく与えられていなかったり甲状腺腫を誘発するとされる一部の野菜(キャベツなど)を好んで食べてしまったりしている子もおり、状態が悪化して病院に担ぎ込まれる子がまだまだ多いのが現状です。逆に言えば、食事にきちんとヨードを添加するなど正しい食生活を送れば多くの場合甲状腺腫を発生させずに済むのです。ヨード添加と記載のあるサプリを使用しても良いですし、ボレー粉にはもともとヨードが含まれているのでカルシウム源としてだけでなくヨード源としても利用すると良いでしょう。
甲状腺はもともと夜間によく働く器官です。このため甲状腺腫の症状は夕方から夜にかけて出ることが多く、さらに進行すると昼夜問わず症状が見られます。重症化した子の中には喀血して亡くなる子もいます。このような小鳥さんをできるだけ減らすため、夜になると息切れする、プチプチと音がするなどの初期症状を見逃さないようにしましょう。