季節ごとに、小鳥さんと一緒に生活する上での注意事項をお知らせしています。
少しでも小鳥さんのことを知って、お役に立てればと思います。

「オカメインコさんのロックジョー」

2025.01.01

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

今年度も小鳥さんをはじめとする動物さんの健康を守り、飼い主さまに寄り添った医療が提供できるよう努めていく所存です。

 

今回は、オカメインコさんのご家族に知って頂きたい「ロックジョー」についてお話します。

 

ロックジョーとは、オカメインコさんの開口不全症候群(Cockatiel Lock Jaw Syndrome: 、CLJS)のことで、2〜10週齢のオカメインコさんの上部呼吸器感染症の1つです。

悪化すると、くちばしを動かすことができなくなり、ごはんが食べられずに命に関わる病気です。

 

原因細菌は、主にボルデテラ菌(Bordetella avium)とされ、その他、マイコプラズマや真菌も原因となることもあります。

細菌が産生する毒素によるダメージや、さし餌やチューブフィーディングの際の外傷、栄養や飼育環境、ストレスによる免疫の低下に関係するとされていますが、オカメインコさんのヒナのみに発症する理由は分かっていません。

 

初期には、副鼻腔炎などの呼吸器症状が現れ、無表情、どんよりと濁り輝きがない半開きの目、くちばしや顔が血行が悪くなります。

 

炎症が顎や頬に進行すると、顎の関節がダメージを受け、線維化が生じ、関節が固定されて「ロックジョー」という、顎が動かない状態になります。

数日で顎がまったく動かなくなり、口が閉じたままで、自力でごはんを食べることができなくなります。

また、くちばしが過長して摂食が更に難しくなり、強制給餌が追いつかずに衰弱してしまう子もいます。

重症化すると、嚥下困難による誤嚥、肺炎、敗血症による心内膜炎などが生じて、突然死することがあります。

 

ロックジョーは、PCR検査、細菌培養検査によって診断され、入院して強制給餌をしながら、抗生剤や消炎剤の内服薬や、ネブライザーの吸引などの治療を行います。

 

ロックジョーは衰弱し命に関わることが多い病気ですが、早期発見、治療により助かることもあります。

おうちで、オカメインコさんのヒナをお迎えした際は、適切な栄養や環境管理により免疫低下を防ぎ、また、さし餌の際などにケガをさせないように気をつけることが大切です。

また、おうちのオカメインコさんの食欲やお顔の表情など、気になる症状があった場合は早めに受診をしましょう。

ページの先頭へ